はじめに(疾患背景と現行治療の課題)
膵がんは進行が早く予後不良で、根治切除が困難な症例が多いです。標準的な一次治療としては、ナブ-パクリタキセルとジェムシタビン(AG療法)が使用されており、一部で効果を示しますが、全体として十分な生存期間延長が得られていないのが現状です。
本試験では、免疫治療薬QLS31905(CLDN18.2/CD3二重特異抗体)をAG療法と併用し、プラセボ+AGとの比較により生存アウトカムを改善する可能性を評価することを目的としており、一次治療における有望な新戦略の一つと期待されます(効果は検証中です)ICHGCPMedPath。
治療の位置づけ(+やさしい解説)
専門的な解説
QLS31905は、CLDN18.2を標的とした双特異抗体で、一端はがん細胞上のCLDN18.2に結合し、もう一端はT細胞のCD3を介して免疫応答を誘導します。
AG(ナブ-パクリタキセル+ジェムシタビン)との併用により、化学療法で弱ったがん細胞に免疫を再活性化させることで、相乗的にがん細胞を攻撃する狙いです(効果は検証中です)adisinsight.springer.comICHGCP。
やさしい解説
QLS31905は「がんを見つけたときに攻撃しなさい」と免疫細胞に教える薬です。それをおなじみの抗がん剤と組み合わせることで、がんを倒す力を強化しようという試みです(効果はただいま調査中です)。
患者さん向け解説
この試験は、これまでの治療が効きにくい、手術できない膵がんの患者さんが対象です。特に、がん細胞に「CLDN18.2」という目印がある方が参加できる可能性があります。
どんな治療なの?
この治療は、お薬を組み合わせて使います。
QLS31905
がん細胞のCLDN18.2という目印に結びつき、免疫細胞(T細胞)に「がんを攻撃していいよ」と指示を出す薬です。
ナブ-パクリタキセル+ジェムシタビン(AG療法)
よく使われる抗がん剤の組み合わせで、がん細胞の増殖を抑える力があります。
治療の流れ
- 最初からQLS31905またはプラセボをAG療法と組み合わせて静脈注射で投与することが想定されます(正確な間隔・プロトコールは公表情報なし)。
- 治療日には、点滴投与にあわせて採血や診察、必要に応じて画像検査が行われ、薬の効果や副作用の確認が行われます。
どのくらい通院が必要?
公表情報なしですが、一次治療であるため、3週間に1回程度の通院が一般的な可能性があります。
どんな検査があるの?
- 血液検査(肝臓、腎臓、血球数など)
- がんの広がりを確認する画像検査(CT、MRIなど)
- 心機能検査については、公表情報なし
日常生活の注意点
治療中は、体調や食欲の変化に注意し、無理を避けましょう。発熱や息切れ、強い倦怠感などがあれば、早めに医療機関に相談してください。
参加を検討する方へ
この治療は研究段階であり、すべての方に効果があるとは限りません。副作用として、発熱、倦怠感、吐き気、血液への影響などが出る可能性があります。参加の可否やリスク・利益については、必ず主治医とご相談ください。
試験概要
- 試験番号(NCT):NCT07079228/正式名称:A Study to Compare QLS31905 and Chemotherapy With Placebo and Chemotherapy in Participants With Pancreatic Cancer
- スポンサー情報:Qilu Pharmaceutical Co., Ltd.ICHGCP
- フェーズ/デザイン:フェーズ III/ランダム化、二重盲検、並行群間比較(Parallel Assignment)ICHGCPctv.veeva.com
- 対象疾患とバイオマーカー条件:CLDN18.2陽性の進行膵がん(切除不能または転移性)MedPathICHGCP
- 投与プロトコール:QLS31905またはプラセボをAG療法(ナブ-パクリタキセル+ジェムシタビン)と静脈注射で併用。開始タイミングや間隔は公表情報なしICHGCPctv.veeva.com
- 登録予定数と期間:602名登録予定/開始予定:2025年9月1日/主要評価完了予定:2028年12月/試験終了予定:2030年9月1日MedPathICHGCP
- ステータス:Not yet recruiting(未登録開始)MedPathICHGCP
- 治験参加国:公表情報なし(おそらく中国中心)ICHGCPMedPath
- 出典リンク:ClinicalTrials.gov NCT07079228MedPathICHGCP
試験進捗状況
- 登録状況:未開始(Not yet recruiting)MedPathICHGCP
- 最終更新日:2025年7月28日掲載、7月23日更新(Last Update Posted)ICHGCPMedPath
- 日本の参加有無:公表情報なし(施設名含め)ICHGCP
世界の疫学データ
膵がんの世界的な5年生存率は非常に低く、多くの国で5%未満と報告されています(出典例:世界保健機関WHOなど)。
日本では年間約4万人が新たに罹患し、数万人が死亡しており、進行膵がんの治療革新が強く求められています(出典:WHO, 日本の国立がん研究センター)。
※詳細数値は別途信頼機関からご確認ください。
免責事項
本記事は臨床試験の情報提供を目的としており、効果や安全性を保証するものではありません。試験への参加可否は必ず主治医とご相談ください。
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