臨床試験紹介(急性骨髄性白血病一次治療):イボシデニブ+アザシチジン +/– ベネトクラクス(NCT07075016)

はじめに(疾患背景と現行治療の課題)

急性骨髄性白血病(AML)は、急激に進行する骨髄内の造血細胞の悪性腫瘍であり、高齢者や合併症を抱える患者では集中的化学療法が難しい場合が多くあります。

特にIDH1遺伝子に変異を持つAMLでは、イボシデニブとアザシチジンの併用が標準的な治療となりつつありますが、治療効果の持続や予後改善にはまだ改善余地があります。

本試験は、ベネトクラクス(Bcl-2阻害薬)を追加することで治療効果を高められるかを検証するものであり、治療の選択肢拡大に貢献する可能性があります。

治療の位置づけ(+やさしい解説)

専門的な解説

本試験では、IDH1変異を有し、集中的化学療法が困難な新規診断AMLまたはMDS/AML患者を対象とし、イボシデニブ+アザシチジンが標準的な低侵襲治療であるなか、ベネトクラクスの追加によって腫瘍細胞のアポトーシス誘導が強化される可能性を検証します。

プラセボ比較対照を用いることで、ベネトクラクスの上積み効果を明確に評価し、安全性と有効性を検証中ですctv.veeva.comシグマ

やさしい解説

この試験では、IDH1遺伝子に変化がある血液のがん(AML)で、強い治療ができない方を対象に、今の標準的な治療(イボシデニブ+アザシチジン)に加えて、「ベネトクラクス」という薬を一緒に使うことで、治り具合がより良くなるかを調べています。

実際には、一部の患者さんにはベネトクラクスではなく「偽物の薬(プラセボ)」を使って比較して、効果と安全性の違いを明らかにしようとしている段階です。

今はまだ研究の段階で、治療効果は検証中ですctv.veeva.comシグマ

患者さん向け解説

この試験は、これまでの治療が効きにくくなった方や、手術が難しい方が対象です。特に、以下のような条件の方が参加できる可能性があります。

どんな治療なの?

この治療は、3種類の薬を組み合わせて使います。

  • イボシデニブ(Ivosidenib)
     IDH1遺伝子の異常を持つがん細胞の代謝を妨げて、がんの増殖を抑える可能性がある薬です。
  • アザシチジン(Azacitidine)
     低侵襲な治療で、DNAメチル化を修正し、がん細胞の分化や死を促す薬です。
  • ベネトクラクス(Venetoclax)
     がん細胞の「死なないで」という信号(Bcl-2)を止めて、がん細胞の自滅(アポトーシス)を促す薬です。

治療の流れ

  • 試験では、最初に2種類の薬(イボシデニブとアザシチジン)を投与し、さらに3週間ごとにベネトクラクスまたはプラセボ(見た目は同じ偽物の薬)が追加されます。
  • 治療日は血液検査や診察、画像検査などが行われ、副作用や効果の確認をしながら次のサイクルへ進みます。

どのくらい通院が必要?

基本的には3週間に1回の通院が想定されています。初期段階では、副作用や体調の確認のために通院回数が増える可能性があります。

どんな検査があるの?

  • 血液検査(肝臓・腎臓の機能、血球数など)
  • 心臓機能検査(HER2治療ではないが、安全性確認のため必要となる可能性あり)
  • CTなどの画像検査でがんの広がりを評価

日常生活の注意点

治療中は体調や食欲の変化に注意し、無理のない生活を心がけてください。発熱、息切れ、強いだるさなどが出た場合は、早めに医療機関に連絡をしてください。

参加を検討する方へ

この治療はまだ研究段階であり、すべての方に効果があるとは限りません。副作用として、血球の減少や倦怠感、発熱、吐き気などが出る可能性があります。参加の可否やリスク・ベネフィットは、主治医とよく相談してください。


試験概要

  • 試験番号(NCT)/正式名称
    NCT07075016/Ivosidenib and Azacitidine With or Without Venetoclax in Adult Patients With Newly Diagnosed IDH1-Mutated AML or MDS/AML Considered Ineligible for Intensive Chemotherapy(EVOLVE-1)ctv.veeva.comシグマ
  • スポンサー情報
    Stichting Hemato-Oncologie voor Volwassenen Nederland および複数の欧州協力グループctv.veeva.comシグマ
  • フェーズ/デザイン
    フェーズ3、二重盲検、プラセボ対照試験ctv.veeva.comシグマ
  • 対象疾患とバイオマーカー条件
    新規診断のIDH1変異をもつAMLまたはMDS/AMLで、強い治療ができない患者が対象ctv.veeva.comシグマ
  • 投与プロトコール(間隔、経路、開始タイミング)
    イボシデニブ+アザシチジンが標準、またはそこにベネトクラクス(400 mg)またはプラセボを追加。3週間ごとの投与と推定されますctv.veeva.comシグマ
  • 登録予定数と期間
    約227名、2028年3月までの予定シグマ
  • ステータス
    登録中(Recruiting)シグマ
  • 治験参加国
    ヨーロッパ複数国。日本についての記載はありません(公表情報なし)シグマ
  • 出典リンク
    NCTページ(ClinicalTrials.gov)および Larvol‐EVOLVE-1ページctv.veeva.comシグマ

試験進捗状況

  • 登録状況:Recruiting(活動中)シグマ
  • 最終更新日:ClinicalTrials.govページに明示的な日付記載なし(公表情報なし)。
  • 日本の参加有無:日本の参加施設に関する情報は掲載されておらず、不明です(公表情報なし)。

世界の疫学データ

IDH1変異を有するAMLの罹患率や有病率について、NCTページには記載がありませんでした。AML全体の世界/日本の疫学データについても今回の検索では確認できませんでした(公表情報なし)。そのため、信頼できるWHO等の情報源からの明示的なデータについても取得できませんでした。


免責事項

本記事は臨床試験の情報提供を目的としており、効果や安全性を保証するものではありません。試験への参加可否やリスク・ベネフィットは、必ず主治医とご相談ください。

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