臨床試験紹介(子宮内膜がんの二次療法):Puxitatug Samrotecan(AZD8205)(NCT07044336)

はじめに(疾患背景と現行治療の課題)

子宮内膜がんは女性特有のがんで、初期には手術や化学療法が有効ですが、進行例では治療抵抗性となることが少なくありません。

特に、プラチナ製剤および抗PD-1/PD-L1療法後に再発・進行した症例では治療選択肢が限られていることが課題です。

本試験は、新規薬剤「Puxitatug Samrotecan(AZD8205)」のモノセラピーを、従来の化学療法と比較することで、進行性/転移性子宮内膜がん患者さんの予後改善や品質保持に貢献できる可能性を検証する重要な試験です。clin.larvol.comctv.veeva.com


治療の位置づけ(+やさしい解説)

専門的な解説

Puxitatug Samrotecan(AZD8205)は、B7-H4というがん細胞表面に発現する新しいバイオマーカーを標的とする抗体–薬物複合体(ADC)であり、がん細胞に対して高い特異性をもって薬剤を届けることが期待されます。

これにより、標準的なドキソルビシンやパクリタキセルと比較して、より効率的に腫瘍制御が可能で、副作用を軽減する可能性があります。

第III相試験として、進行性/転移性子宮内膜がんで、抗PD-1/PD-L1療法およびプラチナベースの化学療法後の患者を対象に、AZD8205単独治療と医師選択の化学療法(ドキソルビシンもしくはパクリタキセル)を比較し、無増悪生存期間および全生存期間の延長効果を検証します。ctv.veeva.comMedPathICHGCP

やさしい解説

AZD8205は、がんにだけくっついて薬を運ぶ“標的型のお薬”です。従来の治療薬よりも効率よくがんを攻撃し、体の負担を減らせるかもしれません。

この試験では、プラチナ系化学療法や免疫療法で治療が難しくなった方に向けて、従来の化学療法と比べて“どちらがより効果的か、生活の質もどう変わるか”を調べています。

効果は現在検証中です。副作用の有無や持続期間なども確認されます。


患者さん向け解説

この治験は、これまでの治療が効きにくくなった方や手術が難しい方が対象です。

特に、プラチナ化学療法および免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1/PD-L1)による治療後に進行した進行性または転移性の子宮内膜がんで、しかも「B7-H4」という腫瘍の特徴がある方が参加できる可能性があります。

どんな治療なの?

この治療は、新しいタイプの抗体–薬物複合体(ADC)「Puxitatug Samrotecan(AZD8205)」と、従来の化学療法を比較する試験です。

  • AZD8205(プクシタタグ・サムロテカン)
    がん細胞表面のB7-H4という目印に結合し、そこに薬剤を届けて癌細胞内で作用します。
  • 従来の化学療法
    医師が選んだ標準的な薬剤(ドキソルビシンまたはパクリタキセル)を使用します。

治療の流れ

  • AZD8205群:静脈注射で Day 1 に投与、3週間ごとのサイクル(Q3W)。
  • 化学療法群:
    • ドキソルビシン:静脈注射 Day 1 Q3W
    • パクリタキセル:静脈注射 Days 1, 8, 15(28日サイクル)ctv.veeva.comMedPath

どのくらい通院が必要?

基本は、3週間に1回の通院が中心です。診察、点滴、副作用チェック等が行われます。

どんな検査があるの?

  • 血液検査(血球、肝腎機能など)
  • 画像検査(CTなど)でがんの増減を評価
  • その他、症状評価や生活の質(QOL)に関するアンケートなどICHGCP

日常生活の注意点

体調や食欲の変化、倦怠感、発熱、息切れなどに注意し、異常を感じたら早めに医療機関に連絡しましょう。

参加を検討する方へ

この治療は研究段階であり、すべての方に効果があるとは限りません。副作用や体への影響もまだ完全にはわかっていません。参加の可否やリスク・ベネフィットについては、必ず主治医にご相談ください。


試験概要

  • 試験番号(NCT)/正式名称
    NCT07044336/Puxitatug Samrotecan(AZD8205)Monotherapy vs Chemotherapy in B7-H4-selected Advanced/Metastatic Endometrial Cancer Who Progressed On or After Platinum Based Chemotherapy and Anti-PD-1/Anti-PD-L1 Therapy (Bluestar-Endometrial01)fdaaa.trialstracker.netclin.larvol.comctv.veeva.com
  • スポンサー情報
    スポンサー:AstraZenecaclin.larvol.comICHGCP
  • フェーズ/デザイン
    フェーズIII/ランダム化、並行群、非盲検試験(Open-label)ctv.veeva.comMedPath
  • 対象疾患とバイオマーカー条件
    進行性または転移性子宮内膜がん(またはカルチノサルコーマ)、B7-H4陽性、プラチナ化学療法および抗PD-1/PD-L1療法後の症例ctv.veeva.comICHGCP
  • 投与プロトコール(間隔、経路、開始タイミング)
    • AZD8205群:静脈注射 Day 1 Q3W
    • 化学療法群:ドキソルビシン(静脈注射 Day 1 Q3W)またはパクリタキセル(静脈注射 Days 1, 8, 15 28日サイクル)ctv.veeva.comMedPath
  • 登録予定数と期間
    約700名。開始:2025年8月1日、主要評価完了予定:2027年11月2日/全体完了予定:2028年4月3日fdaaa.trialstracker.netMedPath
  • ステータス
    現在募集中(Recruiting)MedPathfdaaa.trialstracker.net
  • 治験参加国
    グローバル実施(米国、欧州、日本、その他地域)sigma.larvol.comctv.veeva.com
  • 出典リンク
    ClinicalTrials.gov ほか上記参照ページClinicalTrials.govclin.larvol.comctv.veeva.com

試験進捗状況

  • 登録状況:現在募集中。2025年8月に開始、登録進行中です。MedPathfdaaa.trialstracker.net
  • 最終更新日:2025年8月28日更新、ClinicalTrials.gov 最終確認:2025年9月3日。MedPathfdaaa.trialstracker.net
  • 日本の参加有無:グローバルに実施されると示されているものの、日本国内の施設名に関する記載は確認できませんでした(公表情報なし)。

世界の疫学データ

本試験に関する情報源に罹患率や有病率の記載はありませんでした。


免責事項

本記事は臨床試験情報の提供を目的としており、効果や安全性を保証するものではありません。試験への参加可否、リスクやベネフィットについては、必ず主治医にご相談ください。

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