はじめに(疾患背景と現行治療の課題)
転移性大腸がん(mCRC)は、原発部位から遠隔臓器にがんが拡がった状態です。
一次治療には通常、オキサリプラチンとカペシタビンを組み合わせた化学療法(XELOX)と、血管新生を抑制するベバシズマブが用いられます。
しかし、耐性や効果の限界、安全性の懸念などが治療上の重要な課題となっています。
本試験では、新規抗体療法「QL1706」をこれらに追加し、効果の向上と安全性の再評価を試みる点に意義があります。
治療の位置づけ(+やさしい解説)
専門的な説明
QL1706は、免疫チェックポイントに加え、腫瘍微小環境への作用が期待される新規抗体療法で、XELOX(オキサリプラチン+カペシタビン)およびベバシズマブと併用されます。
ベバシズマブは腫瘍への血流を抑制することで化学療法の効果を高めるとされ、QL1706を加えることで複数経路から腫瘍抑制を狙い、相乗的な効果を期待しています。
ただし、これらの効果は現在検証中です。
やさしい解説
QL1706という新しいお薬を、すでに使われている抗がん剤と血管の働きを止めるお薬(ベバシズマブ)に加えて使う治験です。
がんを多方面から攻めて、より効果的にしようという試みですが、現時点では効果は「期待されます」という段階です。
患者さん向け解説
この試験は、これまでの治療が効きにくくなった方や、手術が難しい方が対象です。
特に、乳がんや大腸がんなどで、がん細胞の表面に「HER2」というタンパクがある方を対象としたものではありません。
どんな治療なの?
この治療は、3種類の薬を組み合わせて使います。
QL1706
新しい免疫に作用する注射薬です。がんにかかわる複数の経路を阻害し、免疫や化学療法の効果を高めることが期待されています(効果検証中)。
XELOX(オキサリプラチン+カペシタビン)
標準的な化学療法薬で、がん細胞のDNAを壊します。
ベバシズマブ
がんへの血管の成長を抑えることで、がん細胞への栄養を断ち、化学療法の効果を高める可能性があります。
治療の流れ
- 初回はQL1706を静脈注射し、その後は3週間ごとにQL1706、XELOX、ベバシズマブを併用して静脈注射する予定です。効果や副作用の確認と同時に通院し、次のサイクルに進みます。
どのくらい通院が必要?
基本的には3週間に1回の通院ペースです。初期は副作用チェックのためやや多くなる場合があります。
どんな検査があるの?
- 血液検査(肝臓・腎臓・血球数など)
- 画像検査(CTなど)でがんの大きさや広がりを確認
- 心機能評価などは、XELOXやベバシズマブに関して重要なため考慮される可能性があります
日常生活の注意点
体調や食欲の変化に気をつけ、無理のない生活を心がけてください。発熱や息切れ、強いだるさがあれば、早めに医療機関へご相談を。
参加を検討する方へ
この治療はまだ研究段階であり、すべての方に効果があるとは限りません。副作用の可能性としては、吐き気や倦怠感、血液成分の変化などが考えられます。参加の可否やメリット・リスクは、必ず主治医とじっくりご相談ください。
試験概要
試験番号(NCT)/正式名称
NCT07025239/QL1706 Injection Plus Bevacizumab and XELOX vs Placebo Plus Bevacizumab and XELOX as First-Line Treatment of Unresectable Metastatic Colorectal Cancer MedPathICHGCP
スポンサー情報
Qilu Pharmaceutical Co., Ltd. MedPathICHGCP
フェーズ/デザイン
第3相試験、ランダム化二重盲検プラセボ対照、多施設共同試験 ICHGCP+1
対象疾患
切除不能な転移性結腸直腸がん(mCRC) ICHGCPMedPath
介入内容/比較群
登録予定数
約430名 ICHGCP+1
スケジュール
- 登録状態:Not yet recruiting(現在募集中ではない) ICHGCPMedPath
- 試験開始予定:2025年7月 MedPath
- プライマリーエンドポイント達成予定:2028年7月(Primary Completion) MedPath
- 試験全体終了予定:2029年7月(Study Completion) MedPath
連絡先/実施場所
公表ページには、連絡担当者(Ruihua Xu, PhD)および連絡先(中国 北京)情報あり ICHGCP
日本での実施状況:公表情報なし
試験進捗状況
登録ステータスは「Not yet recruiting(未だ募集中ではない)」ですが、試験開始予定は2025年7月です。最終更新日は2025年6月17日です。日本の参加施設については明記されておらず、「公表情報なし」です。MedPath+1
世界の疫学データ
この試験対象である転移性大腸がん(mCRC)の世界および日本における罹患率・有病率の具体的数値については、本記事では該当するデータが確認できませんでした。
免責事項
本記事は臨床試験の情報提供を目的としており、効果や安全性を保証するものではありません。参加可否は必ず主治医とご相談ください。
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