臨床試験紹介(急性骨髄性白血病:BST-236+ベネトクラクス)(NCT05503355)

はじめに(疾患背景と現行治療の課題)

急性骨髄性白血病(AML)は、造血系のがんの一種で、高齢者や合併症を抱える患者さんでは、強力な集中化学療法(IC)が難しいケースが多くあります。

そのような方には、低用量アザシチジンや低用量シタラビンなどが用いられますが、効果は限定的で予後も依然として良好とは言えません。本試験(NCT05503355)は、新たな薬剤BST‑236(シタラビンのプロドラッグかつ化学療法薬)と、既にFDA承認済みのBCL‑2阻害剤ベネトクラクス(venetoclax)を併用することで、治療が困難な患者さんに対して、新しい治療オプションとしての安全性と有効性の検証を目的としています。がん情報センター+5ClinicalTrials+5CTサーチサポート+5


治療の位置づけ(+やさしい解説)

専門的な解説

BST‑236は、シタラビンにプロドラッグ化が施された化学療法薬で、より高用量を体内に届けながら全身毒性を抑える工夫がされています。ベネトクラクスはBCL‑2という抗アポトーシス(細胞死抑制)タンパク質を阻害することで、白血病細胞のアポトーシス(自然死)を促進します。この併用により、BST‑236によるがん細胞殺傷効果を強化し、さらにベネトクラクスが細胞死抵抗を解除することで、相乗的な治療効果が期待されます。ただし、これは効果が検証中の治療法であり、現時点ではあくまで臨床試験段階の探究的治療戦略です。CTサーチサポートSemantic ScholarPMC

やさしい解説

BST‑236は、シタラビンという抗がん剤を改良して作られた薬で、注射で投与される方式です。一方、ベネトクラクスは飲み薬で、がん細胞が死なないようにしている仕組み(BCL‑2)をブロックします。両方を組み合わせることで、がんに強く効く効果が期待されていますが、まだ効果や安全性をしっかり調べている段階です。


患者さん向け解説

この試験は、これまでの治療が効きにくくなった方や手術が難しい方が対象です。特に、高齢や合併症で標準治療を受けられない急性骨髄性白血病(AML)の方が対象で、ベネトクラクスは承認薬ですが、BST‑236はまだ承認前の治験薬です。

どんな治療なの?

この治療は、2種類の薬を組み合わせて使います。

  • BST-236 シタラビンという抗がん剤に工夫を加えた薬で、より高い量を安全に届けることを目指しています。
  • ベネトクラクス(venetoclax) がん細胞が死なないようにしているBCL‑2というたんぱく質をブロックし、がん細胞の自壊(アポトーシス)を促します。FDAの承認薬です。

治療の流れ

  • ベネトクラクスは1日1回、経口で最大14日間服用されます。
  • BST‑236は静脈注射(IV)で、1日1回、6日間連続して投与されます。
  • 症状や体調に応じて、医師が判断しながら継続治療が行われます。
  • 治療期間中は治療の効果と安全性を確認しながら進行します。
    CTサーチサポート

どのくらい通院が必要?

治療中はベネトクラクスの内服やBST‑236の注射のため、比較的頻繁な通院が必要になります。目安としては、併用期間中は毎日通院し、治療後も定期的にフォローアップを行います。

どんな検査があるの?

  • 血液検査(血球数、肝機能・腎機能など)
  • 画像検査は記載なし(CT/MRIなどの情報は公表情報なし)
  • その他、心機能や感染兆候をモニターする可能性があります。

日常生活の注意点

治療中は体力が落ちやすく、感染症や倦怠感にも注意が必要です。発熱、息切れ、強い疲労感などがあれば、すぐに医療機関へ連絡しましょう。

参加を検討する方へ

この治療法はまだ研究段階であり、すべての方に効果があるわけではありません。副作用として、血球減少や消化器症状、発熱、倦怠感などが出る可能性があります。参加の判断は必ず主治医とよくご相談ください。


試験概要


試験進捗状況

  • 登録状況:Recruiting(募集中)CTサーチサポート+1
  • 最終更新日:ClinicalTrials.govの最後の投稿日(Last Posted Date)は2023年4月4日と記載されていますMedPath
  • 日本の参加有無:施設情報は米国内に限定されており、日本での参加施設の公表情報はありません。そのため「日本の参加有無:公表情報なし」となります。

世界の疫学データ

急性骨髄性白血病(AML)は、成人における急性白血病の中で最も頻度が高く、高齢者ほど発症率が高い傾向があります。世界や日本の罹患率/有病率データについて、本試験のClinicalTrials.govに記載はありませんでした。信頼性の高い疫学データが必要な場合は、WHOや国立がん研究センターなどの公的機関資料を参照する必要があります。


免責事項

本記事は臨床試験の情報提供を目的としており、効果や安全性を保証するものではありません。治験参加の可否やリスク・ベネフィットについては、必ず主治医とご相談ください。

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