臨床試験紹介(転移性膵癌):SBP-101+nab-パクリタキセル+ゲムシタビン(NCT05254171)

はじめに(疾患背景と現行治療の課題)

膵管腺がん(PDAC)は進行や再発が多く、転移が生じると予後が極めて不良です。現行の一次治療として、ゲムシタビン+nab-パクリタキセル(アルブメンタム結合型パクリタキセル)は標準治療とされるものの、全体生存期間(OS)は依然として限られ、延命効果にも限界があります。

この試験(ASPIRE)は、新規薬剤SBP-101を既存の化学療法に併用し、生存期間の延長が期待されるかどうかを検証することで、転移性膵癌の治療選択肢の向上に貢献する可能性があります。主治医への相談が不可欠です。

治療の位置づけ(+やさしい解説)

専門的な解説

SBP-101(イボスペミン)はポリアミン代謝阻害薬であり、腫瘍細胞の増殖に重要なポリアミン代謝を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑える可能性があります。

これを転移性膵管腺がんに対し、標準的な化学療法であるゲムシタビンおよびnab-パクリタキセルに加えることで、単剤治療よりも重層的に腫瘍細胞を標的とし、治療効果の強化や生存延長が検証されています。

なお、効果はまだ検証中であり確定的ではありません。

やさしい解説

SBP-101はがん細胞が必要とする栄養を邪魔する働きがあります。

これを標準薬(ゲムシタビン+nab-パクリタキセル)に追加することで、がんへの攻撃を強くすることが目的です。

ただし、どれほど効果があるかはまだ調べている段階です。

患者さん向け解説

本試験は、これまで治療を受けたことがない転移性膵がんの方が対象です。

どんな治療なの?

この治療では、次の3種類を組み合わせて使います。

SBP-101(イボスペミン)
腫瘍細胞が必要とする「ポリアミン」という物質の代謝を邪魔し、がんの増殖の邪魔をする薬です(皮下注射)。

ゲムシタビン+nab-パクリタキセル
血管から点滴で投与される標準的な抗がん剤の組合せで、がん細胞を攻撃します。

治療の流れ

どのくらい通院が必要?

治療や評価のための通院頻度は医療機関によって異なりますが、定期的な点滴と評価のための通院が必要です。

どんな検査があるの?

  • 血液検査(肝機能・腎機能・血球など)
  • 画像検査(CT/MRI)でがんの状態を評価
  • 心電図等、必要に応じた臓器機能の確認

日常生活の注意点

体調の変化や発熱、異常な症状がある場合は速やかに医療機関へ連絡し、医師に相談してください。無理のない生活を心がけましょう。

参加を検討する方へ

この治験はまだ研究段階ですべての方に効果があるとは限りません。副作用や体調への影響は個人差があります。参加の可否、リスクやメリットについては必ず主治医とよくご相談ください。

試験概要

試験進捗状況

  • 登録状況:募集中(Active – Recruiting)センターウォッチICHGCP
  • 最終更新日:2024年11月4日(ClinicalTrials.gov 上の最終アップデート日)ICHGCP
  • 日本の参加有無:公表情報なし(該当施設の記載が確認できません)

世界の疫学データ

現在、この試験に該当する膵管腺がんの詳細な罹患率・有病率については ClinicalTrials.gov に記載がなく、公的機関やWHOの最新データも当該内容には未記載のため、本情報提供の範囲では割愛といたします。

免責事項

本記事は臨床試験の情報提供を目的としており、効果や安全性を保証するものではありません。治験への参加可否は必ず主治医とご相談ください。

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