はじめに(疾患背景と現行治療の課題)
胃がん(Gastric Cancer)は世界的に罹患率・死亡率ともに高い代表的ながんです。中でもHER2陽性の症例では、初回治療としてトラスツズマブ(抗HER2抗体)を含む化学療法が標準となっていますが、耐性化や再発により治療効果が低下することが多く、二次治療以降の選択肢が限られているという課題があります。この試験は、HER2陽性で一次治療後に進行した胃がんまたはGEJがん患者を対象とし、bispecific抗体KN026と化学療法の併用療法を評価することで、新たな治療臨床的意義を探るものですPMC+14Clinical Trials+14Cancer Network+14PMC+3OncLive+3Larvol Delta+3。
治療の位置づけ(+やさしい解説)
専門的説明
本治療では、bispecific抗体であるKN026と化学療法の併用を検証しています。KN026は、HER2受容体の異なる二つのエピトープに同時に結合し、より強力な受容体の内部取り込みと抗腫瘍作用の増強を期待できる構造をもちます。そのため、HER2陽性胃がん患者における二次治療以降として、従来の単一抗体以上の効能が期待され、現在検証中ですPMCOncLive。
やさしい表現
KN026は“二つの違う場所にくっつく特別な抗体”で、がん細胞にしっかり“印をつけて”、免疫に見つけてもらいやすくする役割を持ちます。これに化学療法を併用することで、治療が効きにくくなったがんに対して、より効果が期待されます。ただし、今はまだ検証段階です。
患者さん向け解説
どんな治療なの?
この治療では「KN026」という特殊な抗体と、化学療法を組み合わせて使います。
KN026
HER2というがん細胞の目印に、二か所同時にくっつく抗体で、がん細胞を免疫に見つけられやすくする働きがあります。
化学療法(パクリタキセル、ドセタキセル、またはイリノテカン)を併用することで、より強力ながん細胞への攻撃が期待されます。ただし、効果については今後の検証中ですCancer NetworkOncLiveDrugBank。
治療の流れ
- まず、21日ごと(3週間ごと)に治療サイクルが設定されています。
- 1サイクルの1日目には、KN026を静脈注射で投与します(30 mg/kg)。
- 続いて、同じ日にパクリタキセル(175 mg/m²)またはドセタキセル(75 mg/m²)の静注、あるいはイリノテカン(125 mg/m²)を1日目および8日目に投与します。
- このように、KN026+化学療法という組み合わせを繰り返し行いますPMC。
どのくらい通院が必要?
基本的には3週間に1回の通院です。治療日は注射(点滴)や診察、検査が行われますので、複数時間の通院になることが予想されます。
どんな検査があるの?
- 血液検査:主に肝臓や腎臓の機能、血球などが調べられます。
- 治療の安全性評価のための各種検査:治療の進行状況や副作用のチェックが含まれます。
- 画像検査(CTなど):がんの大きさや広がりの評価を行いますCancer Network。
日常生活の注意点
治療中は体調や食欲の変化に注意しましょう。特に熱が出る、強い疲労感、息切れなどがある場合は早めに医療機関に連絡してください。無理せず、休養を心がけることが大切です。
参加を検討する方へ
この治療法は現在研究段階にあり、すべての方に効果があるとは限りません。副作用としては、好中球減少(33%)、下痢(7.7%)、リンパ球減少(5.1%)、発熱性好中球減少(5.1%)、低カリウム血症(5.1%)、咳(5.1%)などが報告されており、新たな安全性シグナルは今のところ確認されていませんCancer Network。参加をご検討の際は、主治医と十分に相談してください。
試験概要
- 試験番号(NCT)/正式名称
NCT05427383/KN026 in Combination With Chemotherapy in HER2 Positive Gastric Cancer Subjects Who Have Failed First‑line TherapyClinical Trials+14Clinical Trials+14Clinical Trials+14。 - スポンサー情報
Alphamab OncologyおよびCSPC Pharmaceutical Groupによる共同スポンサーです癌症年鉴+5癌症年鉴+5Larvol Delta+5。 - フェーズ/デザイン
第Ⅱ/Ⅲ相のランダム化多施設共同二重盲検試験(段階的にopen-labelステージあり)、化学療法併用治療との比較ですPMC+7OncLive+7Cancer Network+7。 - 対象疾患とバイオマーカー条件
HER2陽性(IHC 3+ または IHC 2+/ISH陽性)の再発または転移性胃がんまたはGEJがんで、一次治療(トラスツズマブ含む)後に進行した患者さんが対象ですLarvol Delta+3OncLive+3PMC+3。 - 投与プロトコール(間隔、経路、開始タイミング)
KN026(30 mg/kg)静注+化学療法(パクリタキセル175 mg/m²静注またはドセタキセル75 mg/m²静注またはイリノテカン125 mg/m²日1および日8)を、21日ごとに投与しますPMC+3Cancer Network+3OncLive+3。 - 登録予定数と期間
公表情報には登録予定数および登録期間の詳細は記載されていません〈公表情報なし〉。 - ステータス
募集・実施中(Recruiting/進行中)と位置づけられていますが、詳細な進捗は不明ですClinical Trials。 - 治験参加国
具体的な国別の参加施設は公表されておらず、日本での実施施設に関しても記載がありません〈公表情報なし〉。 - 出典リンク
ClinicalTrials.gov 試験ページ(NCT05427383)を一次情報として参照していますClinical Trials+13Clinical Trials+13Cancer Network+13。
試験進捗状況
- 登録状況/最終更新日
試験は第Ⅱ/Ⅲ相で進行中であり、ClinicalTrials.govの最終情報更新日は2023年12月19日ですClinical TrialsCancer Network。 - 日本の参加有無
施設情報に日本の記載がなく、日本での実施については「公表情報なし」です。
世界の疫学データ
胃がんにおけるHER2陽性の割合は、約15%にのぼります。これは胃腺がんのうち比較的少数ですが、治療標的として重要なサブタイプとされていますPMC。
免責事項
本記事は臨床試験情報の提供を目的としており、治療効果や安全性を保証するものではありません。治験参加の可否やリスク・ベネフィットの判断は、必ず主治医と十分にご相談ください。
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