臨床試験紹介(胃がん:T-DXd+Afatinib併用療法)(NCT06085755)

はじめに(疾患背景と現行治療の課題)

胃がん(進行・再発胃がん)は有効な治療選択肢が限られており、特に既存の化学療法や分子標的治療に抵抗性を示す場合は改善が難しい課題となっています。さらに、HER2発現が低い(HER2‑low)患者さんではHER2抗体薬物複合体(ADC)であるトラスツズマブ デルクステカン(T‑DXd)単独では十分な効果が得られない可能性があり、新たな併用戦略の検討が求められています。本試験では、T‑DXdにAfatinib(アファチニブ)を併用することで治療効果の向上が期待されており、HER2‑lowの進行胃がんにおける新たな治療オプションの開発として意義があります。

治療の位置づけ(+やさしい解説)

専門的な説明

本試験では、HER2‑lowの進行胃がん患者さんを対象に、T‑DXdとAfatinibの併用を評価することで、Synergistic(相乗的)な治療効果の可能性を模索します。T‑DXdはHER2に結合してがん細胞内へ薬剤(デルクステカン)を送り込み、DNA損傷を誘導するADCです。一方でAfatinibはEGFRやHER2などERBBファミリーを不可逆的に阻害する経口チロシンキナーゼ阻害剤であり、細胞増殖シグナルを抑制します。併用によって、がん細胞への標的誘導と増殖抑制の多面的アプローチが可能となり、より高い治療効果を得られる可能性があります。ただし、現時点では効果は検証中であり、確定的な結論ではありません。

やさしい解説

T‑DXdは、がん細胞の「マーカー(HER2)」を目印に薬を届ける仕組みを使って攻撃します。一方、Afatinibはがん細胞が生き残るための「成長スイッチ」を止めます。これらを組み合わせることで、「的を絞った攻撃」と「増えにくくする攻撃」を同時に行い、より強くがんを叩く効果が期待できるわけです。ただし、いまはまだ研究段階で、どのくらいの効果があるかはこれからの検証に委ねられています。

患者さん向け解説

この試験は、これまでの治療が効きにくくなった方や、手術が難しい方が対象です。特に、胃がんでがん細胞に「HER2」という目印が少しでもある、いわゆるHER2‑lowの場合に参加できる可能性があります。

どんな治療なの?

この治療は、2種類の薬を組み合わせて使います。

  • T‑DXd(Trastuzumab Deruxtecan)
     HER2という目印にくっついてがん細胞の中に薬を運ぶ薬です。運び込まれた薬ががん細胞のDNAを壊すことで、がんを死滅させるように働きます。
  • Afatinib
     がん細胞の増殖を助ける「信号」をキャッチして止めることで、がんが増えにくくなるように働きます。

治療の流れ

どのくらい通院が必要?

  • 公表情報なし(通院頻度などの記載がありません)CareAcross

どんな検査があるの?

  • 公表情報なし(具体的な検査内容は記載がありません)CareAcross

日常生活の注意点

治験中は体調や食欲の変化に注意し、無理のない生活を心がけましょう。熱や倦怠感、息切れといった症状があれば、すぐに医療機関にご連絡ください。

参加を検討する方へ

この治療はまだ研究段階であり、すべての方に効果があるとは限りません。副作用として熱、倦怠感、吐き気、血球の減少などが出る可能性があります。参加の可否やリスク・ベネフィットは、必ず主治医とご相談ください。

試験概要

試験進捗状況

  • 登録状況:Recruiting(募集中)シグマ+1
  • 最終更新日:ClinicalTrials.govの最終更新は2024年(具体的な日付の記載なし)Clinical Trials
  • 日本の参加有無:施設情報としてSamsung Medical Center(韓国)での実施は確認できますが、日本の施設での実施に関する記載は公表情報なしMedPathシグマ

世界の疫学データ

  • 公表情報なし(ClinicalTrials.govに疾患の疫学数値は掲載されていません)
  • 進行胃がんの世界的罹患率については、日本胃がん統計やWHOデータなど信頼性の高い公的データが必要ですが、本回答では取得しておりません。

免責事項

本記事は臨床試験に関する情報提供を目的としております。効果や安全性を保証するものではありません。参加の可否やリスク・ベネフィットについては、必ず主治医とよくご相談ください。

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