臨床試験紹介(子宮頸がん 二次療法):サシツズマブ・チルモテカン(MK-2870)単剤療法(NCT06459180)

はじめに(疾患背景と現行治療の課題)

子宮頸がん(再発または転移)は、標準治療であるプラチナ製剤併用化学療法や免疫チェックポイント阻害薬が奏効しない場合、治療選択肢が非常に限られます。

本試験では、TROP2高発現を含む患者さんに対し、サシツズマブ・チルモテカン(MK-2870)単剤療法を、医師が選択する治療(例:トポテカン、イリノテカンなど)と比較することで、生存延長の可能性を検証することを目的としています(仮説として全生存期間の改善を期待)merckclinicaltrials.comセンターウォッチ

治療の位置づけ(+やさしい解説)

専門的な解説

本試験は、第3相ランダム化オープンラベル多施設共同試験として設計され、まず安全性ランインフェーズでサシツズマブ・チルモテカンの適正用量を確立し、次に本検証フェーズ(フェーズ3)で医師選択治療(TPC)と比較します。

主たる仮説は、サシツズマブ・チルモテカンがTROP2高発現患者だけでなく全体において、全生存期間(OS)を優位に改善することですmerckclinicaltrials.comセンターウォッチ

やさしい解説

この治療は「がんを見分けて攻撃する目印」を標的にした新しい薬で、従来の治療が効きにくくなった方に、新しい選択肢として使われます。

まずは安全かを確かめる段階があり、その後で通常の治療と比べて生き延びる期間が延びるかどうかを見ます。効果の可能性は「検証中」です。

患者さん向け解説

この試験は、従来の治療が効かなくなった再発または転移の子宮頸がんの方が対象です。

どんな治療なの?

この治療は単剤で行います。サシツズマブ・チルモテカン(MK-2870)は、がん表面のTROP2という目印に結合し、薬の成分を直接がん細胞に届けて攻撃する設計です。「TROP2」はがんのマーカーの一つです。

治療の流れ

  • 最初に安全性チェックの「ランインフェーズ」があります(この段階では少人数で適切な投与量を決める)。
  • その後、ランダムに割り付けられ、サシツズマブ・チルモテカン単剤と、医師が判断する標準治療とを比較するフェーズへ進みます。
  • 詳細な投与スケジュールや間隔は公表情報なし。

どのくらい通院が必要?

公表情報なし。ただし、安全性確認のため初期は通院頻度が高くなる可能性があります。

どんな検査があるの?

公表情報なし。一般的には血液検査や画像診断が含まれますが、本試験の具体的な内容は非公開です。

日常生活の注意点

まだ検証段階の治療ですので、体調や副作用の変化があればすぐに医師に相談してください。

参加を検討する方へ

この治療は研究中であり、すべての方に効果があるとは限りません。副作用のリスクもあります。参加の可否やリスク・ベネフィットについては、必ず主治医とよくご相談ください。

試験概要

  • 試験番号(NCT)/正式名称:NCT06459180/“A Phase 3 Randomized, Active-controlled, Open-label, Multicenter Study to Compare the Efficacy and Safety of MK-2870 Monotherapy Versus Treatment of Physician’s Choice as Second-line Treatment for Participants with Recurrent or Metastatic Cervical Cancer(TroFuse-020/GOG-3101/ENGOT-cx20)”fdaaa.trialstracker.netduke-research.dukehealth.org
  • スポンサー情報:Merck Sharp & Dohme LLC(MSD)センターウォッチmerckclinicaltrials.com
  • フェーズ/デザイン:第3相/ランダム化、アクティブコントロール、オープンラベル、多施設共同試験。安全性ランイン→フェーズ3本治験。センターウォッチmerckclinicaltrials.com
  • 対象疾患とバイオマーカー条件:再発または転移性子宮頸がん(扁平上皮癌、腺癌、腺扁平上皮癌)、TROP2高発現の可能性も含めた全体対象センターウォッチmerckclinicaltrials.com
  • 投与プロトコール(間隔、経路、開始タイミング):安全性ランイン後ランダム化により単剤投与。具体的投与スケジュールは公表情報なし。
  • 登録予定数と期間:総登録予定数 686名。開始日:2024年7月24日、推定主要評価終了日:2028年10月23日、推定全体終了日:2028年10月23日センターウォッチmerckclinicaltrials.comfdaaa.trialstracker.net
  • ステータス:アクティブ–募集中(Recruiting / Active-Recruiting)センターウォッチmerckclinicaltrials.com
  • 治験参加国:アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、チリ、中国、コロンビア、デンマーク、フィンランド、フランス、ギリシャ、アイルランド、イスラエル、イタリア、日本(多数施設)、韓国、マレーシア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、プエルトリコ、シンガポール、スペイン、スウェーデン、スイス、英国 などセンターウォッチ

試験進捗状況

  • 登録状況:2025年8月14日時点で「アクティブ–募集中」(Active-Recruiting)センターウォッチ
  • 最終更新日:ClinicalTrials.gov情報非閲覧のため、CenterWatchによる更新は2025年8月14日。センターウォッチ
  • 日本の参加有無:日本国内の参加施設として以下が含まれています(公表情報あり):愛知県がんセンター、国立がん研究センター東病院(千葉)、四国がんセンター(松山)、愛媛大学病院(砥部)、久留米大学病院、群馬県立がんセンター、北海道大学病院(札幌)、筑波大学病院(茨城)、岩手医科大学病院(岩手)、埼玉医科大学国際医療センター、静岡がんセンター、国立がん研究センター(東京)、がん研有明病院(東京)、慶應義塾大学病院(東京)、九州がんセンター(福岡)、鹿児島市立病院、新潟がんセンター病院、大阪国際がんセンターセンターウォッチ

世界の疫学データ

本試験における対象疾患である“再発または転移性子宮頸がん”の世界/日本における罹患率・有病率に関して、ClinicalTrials.govには記載がありませんでしたので、WHOやがん登録データベースなど信頼性の高いソースでの引用も必要ですが、本時点で該当データ取得は行っておりません。「公表情報なし」となります。

免責事項

本記事は臨床試験の情報提供を目的としており、治療効果や安全性を保証するものではありません。参加の可否やリスク・ベネフィットについては必ず主治医とご相談ください。

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