はじめに(疾患背景と現行治療の課題)
小細胞肺がん(Small Cell Lung Cancer:SCLC)は進行が早く、しばしば診断時には広範な進行が見られる悪性腫瘍です。一次治療としてプラチナ製剤を含む化学療法が標準ですが、耐性獲得や再発により二次治療以降での治療選択肢が限られており、予後は非常に厳しい状況にあります。
本試験では、AL8326という経口小分子薬を用いて、新たな治療効果が期待されますが、現時点ではその有効性や安全性の検証段階にあり、結果は今後の検証が必要です。
治療の位置づけ(+やさしい解説)
専門的な説明
AL8326はAurora Bキナーゼ阻害、FGFR(線維芽細胞成長因子受容体)拮抗、VEGFR(血管内皮増殖因子受容体)拮抗という多重作用を持つ小分子薬剤であり、細胞分裂の制御や腫瘍への血流供給を阻害することで腫瘍増殖を抑制する可能性があります。
現行治療で効果不十分な進行または再発した小細胞肺がん患者に対し、単独投与としての有効性と安全性を評価する第III相試験です。現段階では「期待される効果があるかどうかは検証中」です。isrctn.com+3isrctn.com+3careacross.com+3
やさしい解説
AL8326は、がん細胞の成長に関わる複数の仕組みを一度に止める進化型の薬です。進行や再発した小細胞肺がんに対して、一種類だけを飲む治療で、がんを抑えられるかどうかを調べています。ただし、まだ研究段階で、安全性や効果については引き続き確認が必要です。
患者さん向け解説
どんな治療なの?
AL8326という薬を使います。プラセボ(偽薬)と比べる形で、2:1の割合で治療を受ける人がAL8326を、残りがプラセボを毎日飲む方法です。治療サイクルは28日で、最大13サイクル(約12ヶ月)続けます。進行や耐え難い副作用が出る、亡くなる、自主的に辞退するなどの事情があれば中止となります。careacross.comisrctn.com
治療の流れ
- 初回はAL8326またはプラセボを内服します。
- その後は28日ごと(1サイクル)に同じ薬を継続し、最大13サイクルまで。
- 毎サイクル、検査や診察が行われ、副作用や効果の有無を確認します。
どのくらい通院が必要?
基本的には1サイクル(28日)に1回の通院が必要です。治療が進行したり副作用が不安定な場合は、通院回数が増えることもあります。
どんな検査があるの?
公表情報に詳細はありませんが、通常の臨床第III相試験では、血液検査(肝臓・腎臓・血球など)、画像検査(CTなど)、心電図などの全身検査が行われる可能性があります。現時点では「公表情報なし」です。
日常生活の注意点
体調や食欲の変化、倦怠感、吐き気、出血、めまいなどが現れた場合には、速やかに医療機関へ連絡してください。無理のない範囲での生活と安静が望まれます。
参加を検討する方へ
この治療は研究段階のものであり、すべての方に効果があるとは限りません。副作用として高血圧、タンパク尿、腎毒性、肝酵素上昇、手足症候群、消化器症状、血液毒性などが報告されています。主治医と十分相談の上、リスクと利益を検討してください。isrctn.com
試験概要
- 試験番号(NCT)/正式名称
NCT06247605 / Phase III Clinical Study of AL8326 Tablets in Patients With Advanced or Recurrent Small Cell Lung Cancer After at Least Prior Second‑line Treatment careacross.com+12cdek.pharmacy.purdue.edu+12isrctn.com+12 - スポンサー情報
Lead Sponsor:Advenchen Laboratories Nanjing Ltd.(Industry)
Source:Advenchen Laboratories, LLC ClinicalTrials.gov+8careacross.com+8Larvol Sigma+8 - フェーズ/デザイン
フェーズIII、第III相。ランダム化、二重盲検(Quadruple Masking:患者・医療提供者・研究者・評価者非公開)、プラセボ対照、並行群間比較。cdek.pharmacy.purdue.edu - 対象疾患とバイオマーカー条件
小細胞肺がん(再発・進行)。バイオマーカー条件の記載はなし。isrctn.com+8careacross.com+8AdisInsight+8 - 投与プロトコール(間隔、経路、開始タイミング)
AL8326錠剤またはプラセボを1日1回経口投与。1サイクル28日、最大13サイクル(約12ヶ月)、その後追跡。clinicaltrials.eu+6careacross.com+6isrctn.com+6 - 登録予定数と期間
登録予定数:243例(AL8326群162例、プラセボ群81例)
開始日:2023年10月26日(ClinicalTrials.gov)、または2023年11月1日(ISRCTN)
終了予定:2029年7月(ClinicalTrials.gov)/2027年12月(ISRCTN)
※情報にやや差異あり。ClinicalTrials.gov+11careacross.com+11cdek.pharmacy.purdue.edu+11 - ステータス
現在、募集中(Recruiting)。cdek.pharmacy.purdue.edu+3isrctn.com+3clin.larvol.com+3 - 治験参加国
中国(Changchun, Jilin Cancer Hospital)を含む国際多施設。英国でも複数施設で実施予定。careacross.comisrctn.com - 出典リンク
ClinicalTrials.gov NCT06247605ページおよびISRCTN 試験登録情報 isrctn.com+10careacross.com+10cdek.pharmacy.purdue.edu+10
試験進捗状況
- 登録状況:現在募集中(Recruiting)
- 最終更新日:ClinicalTrials.gov によると2024年11月12日処理、ISRCTNの最終編集日2024年10月16日careacross.comisrctn.com
- 日本での参加施設:公表情報なし
世界の疫学データ
小細胞肺がんの世界/日本の罹患率に関するClinicalTrials.govには情報がないため、現時点では「公表情報なし」とさせていただきます。
免責事項
本記事は臨床試験の情報提供を目的としており、治療の効果や安全性を保証するものではありません。治験への参加判断は必ず主治医と十分ご相談ください。
コメント