臨床試験紹介(転移性大腸がん・非-MSI-high):ザンザリントニブ+アテゾリズマブ vs レゴラフェニブ(NCT05425940)

はじめに(疾患背景と現行治療の課題)

転移性大腸がん(mCRC)は、転移を伴うがんであり、標準治療後に進行した場合の選択肢が非常に限られており、予後は依然として厳しい状況にあります。特に、MSI‑high(高頻度マイクロサテライト不安定性)でない(non‑MSI‑H)タイプのmCRCでは免疫チェックポイント阻害剤の有効性が乏しく、新たな治療戦略が強く求められています。本試験(STELLAR‑303)は、VEGFR/MET/TAMキナーゼ阻害薬であるザンザリントニブ(XL092)とPD‑L1抗体アテゾリズマブの併用療法を、標準第三選択薬であるレゴラフェニブと比較することで、治療効果の可能性を検証することを目的としています。効果と安全性はまだ検証中ですが、新たな治療戦略として期待されます。主治医へのご相談が重要です。


治療の位置づけ(+やさしい解説)

専門的解説

ザンザリントニブ(XL092)は、VEGFR、MET、TAMファミリー(TYRO3/AXL/MER)という、がんの増殖や血管新生、免疫抑制に関わる複数の受容体型チロシンキナーゼを阻害する経口薬です。これにより腫瘍微小環境の血管正常化および免疫細胞の浸潤促進が期待されます。一方、アテゾリズマブはPD‑L1を阻害し、T細胞を活性化して抗腫瘍免疫を再活性化します。この併用により、がん細胞に対する免疫応答が増強される可能性があり、特に肝転移のない症例での優位性が期待されています。効果と安全性は現在検証中です。主治医にご相談ください。PubMedASCO+4PMC+4STELLAR治験プログラム+4

やさしい解説

この治療では、まず「がんの血管や成長を支える働きをブロックする薬」(ザンザリントニブ)と、「免疫のブレーキを外してがんを攻撃させる薬」(アテゾリズマブ)の2つを組み合わせて使うことで、がんに対する免疫の力を高めようとしています。標準治療後に限定的な選択肢しかない現在、この新しい組み合わせが効果的かどうか、現在調査中です。効果や安全性はまだはっきりしていないため、必ず主治医とよくご相談ください。効果はまだ検証中です。


患者さん向け解説

どんな治療なの?

この治療は、がんの血管や成長を支える特定の働きをブロックする経口薬「ザンザリントニブ」と、免疫のブレーキ(PD‑L1)を外す「アテゾリズマブ」を組み合わせて使います。がんへの免疫反応を高めることを狙った新しい方法であり、まだ研究段階です。

治療の流れ

  • ザンザリントニブは毎日飲む内服薬です。
  • アテゾリズマブは3週間に1回、静脈注射で投与されます(通常量:1200 mg)。
  • レゴラフェニブは標準的に使用される比較薬として用いられます。
  • 詳細なサイクルや初回のみ単剤という情報は公表情報なしです。
    主治医にお尋ねください。

どのくらい通院が必要?

アテゾリズマブの投与に合わせて、3週間に1回ほどの通院が必要と考えられます。副作用や体調変化により通院頻度が増える可能性があります。

どんな検査があるの?

  • 血液検査(肝臓・腎臓・血球など)
  • 画像検査(CTなど)で病状の把握
  • 心機能検査についての記載は公表情報なし。

日常生活の注意点

倦怠感、食欲低下、発熱、下痢など変化があれば、無理せずすぐ医療機関に相談してください。治療は研究段階であるため、体調管理には特に注意が必要です。

参加を検討する方へ

この治療は研究中であり、万能ではない可能性があります。副作用として、疲労、下痢、血圧上昇などが出る可能性があります。参加の可否やメリット・リスクについては、必ず主治医と十分に相談してください。


試験概要

  • 試験番号(NCT)/正式名称: NCT05425940/STELLAR‑303:Study of XL092 (zanzalintinib) + atezolizumab vs regorafenib in non‑MSI‑H metastatic colorectal cancer(ClinicalTrials.gov)ASC Publications+10ClinicalTrials+10Larvol+10
  • スポンサー情報: Exelixis, Inc.(責任担当者)がん情報センター+5ClinicalTrials+5エクセリクシス+5
  • フェーズ/デザイン: グローバル、オープンラベル、無作為化、フェーズIII試験PMCASC Publications
  • 対象疾患とバイオマーカー条件: MSI‑highでない(non‑MSI‑H)/pMMRの転移性大腸がん(成人、進行または再発、標準治療不応または耐えられない症例)PMC+1
  • 投与プロトコール(間隔、経路、開始タイミング): ザンザリントニブは内服、アテゾリズマブは3週間ごと静脈注射(1200 mg)、レゴラフェニブはラベル通り使用。初回単剤など詳細は公表情報なし。PMCASC Publications
  • 登録予定数と期間: 約874名(うち非肝転移群350名)を1:1でランダム化。登録期間に関する具体的期間は公表情報なし。PMC+1
  • ステータス: 現在進行中、登録受付中(米国、欧州、アジア太平洋地域)PMCASC Publications
  • 治験参加国: 米国、欧州各国、アジア太平洋地域(日本を含むかは公表情報なし)STELLAR治験プログラムPMC
  • 出典リンク: ClinicalTrials.gov(NCT05425940)slideteam.net+12ClinicalTrials+12PubMed+12

試験進捗状況

  • 登録状況: 登録中、受付中。PMCASC Publications
  • 最終更新日: ClinicalTrials.govの最終更新情報は少なくとも2024年7月5日。ClinicalTrials
  • 日本の参加有無: 特定施設名は公表情報なし。ただし、アジア太平洋地域で実施とあり、日本が含まれる可能性がありますが、確定せず。「公表情報なし」とします。

世界の疫学データ

転移性大腸がん(mCRC)は、世界でも最も罹患率と死亡率が高いがんの一つです。例えば、5年生存率は約15%とされています。以下の情報は査読文献にもとづいた概要ですが、詳細な数値は公表情報なし。

  • 世界的には、mCRCは大腸がん死亡原因の上位。凡その5年生存率は15%程度。PMC

免責事項

本記事は臨床試験の情報提供を目的としており、効果や安全性を保証するものではありません。試験参加の可否やリスク・ベネフィットは必ず主治医とご相談ください。

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