臨床試験紹介(再発性高悪性度子宮体癌):ザンザリンチニブ+パクリタキセル(NCT06795009)

はじめに(疾患背景と現行治療の課題)

再発性の高悪性度子宮体癌(子宮内膜がんや子宮肉腫など)は、従来の白金製剤をベースとした化学療法に抵抗性を示す場合が多く、再発後の治療選択肢が限られていることがしばしば課題です。本試験では、新たな治療標的であるAXL受容体キナーゼを阻害するザンザリンチニブ(zanzalintinib)と、従来よりがん治療に広く用いられているパクリタキセルを組み合わせることで、がん細胞への効果を高める可能性を検証しています。この併用戦略が奏功すれば、再発性高悪性度子宮体癌の治療の新たな選択肢として期待されます。

治療の位置づけ(+やさしい解説)

専門的な説明

ザンザリンチニブはAXL受容体チロシンキナーゼを阻害することで、がん細胞の増殖や転移に関与するシグナル伝達を妨げる可能性があります。パクリタキセルは微小管を安定化させてがん細胞の細胞分裂を妨げ、アポトーシス(細胞死)を誘導します。これらを組み合わせることで、異なる作用機序による相乗効果により、従来治療抵抗性を示す再発腫瘍に対して抑制効果が高まる可能性が期待されます。本試験はこの併用療法の適切な第2相投与量を決定すること、および安全性と忍容性、初期の治療反応率を検証中です。効果についてはあくまで検証段階であり、断定的な判断はできません。

やさしい表現で

ザンザリンチニブは、がん細胞が使う“指令を受け取る装置”(AXL)を遮断し、がんが強くなるのを防ぐ働きがあります。一方、パクリタキセルはがん細胞を分裂させないように働き、結果としてがん細胞を死滅させる可能性があります。この2種類の薬を一緒に使うことで、通常の治療に反応しにくい再発がんにも、効き目を持たせられるかもしれません。ただし、これはまだ検証中であり、確実な治療法と認められるわけではありません。

患者さん向け解説

この試験は、これまでの治療が効きにくくなった方や、手術が難しい方が対象です。特に、乳がんや大腸がんなどで、がん細胞の表面に「HER2」というタンパク質が少しでもある、またはその遺伝子に変化(変異)がある場合に参加できる可能性があります。

どんな治療なの?

この治療は、2種類の薬を組み合わせて使います。

ザンザリンチニブ
AXLというがんが使う「強くなる信号を受け取るスイッチ」を止める薬です。
このスイッチを止めることで、がん細胞の悪さを抑える可能性があります。

パクリタキセル
がん細胞が分裂するときに必要な仕組みを邪魔することで、がん細胞を死滅させる薬です。

治療の流れ

  • 現在、公表されている情報に基づくと、まず適正な第2相用量(recommended Phase 2 dose)を決定することが目的です。
  • 投与経路や間隔などの詳細プロトコールは公表情報なし。

どのくらい通院が必要?

公表情報なし。

どんな検査があるの?

公表情報なし。

日常生活の注意点

一般的に、治療中は体調や副作用の変化に注意し、無理せず生活することが重要です。高熱、息切れ、倦怠感などがある場合には、速やかに医療機関または主治医に連絡してください。

参加を検討する方へ

この治療は研究段階にあるため、すべての方に効果があるとは限りません。副作用やリスクも含めて詳しくは主治医とご相談ください。

試験概要

  • 試験番号(NCT)/正式名称
    NCT06795009/Phase I/IB Study of Zanzalintinib in Combination With Paclitaxel in Recurrent High Grade Uterine Cancer
  • スポンサー情報
    Washington University School of Medicine(実施機関:UCSF等)reporter.nih.gov+4clinicaltrials.ucsf.edu+4go.drugbank.com+4
  • フェーズ/デザイン
    Phase 1 インターベンショナル研究(用量設定試験)ClinConnect
  • 対象疾患とバイオマーカー条件
    再発性高悪性度子宮体癌(子宮内膜がん、子宮肉腫など)、プラチナ抵抗性または不耐性の方。dMMRやMSI-HまたはHER2変異がある方は標的治療歴の条件ありclinicaltrials.ucsf.edu+1
  • 投与プロトコール(間隔、経路、開始タイミング)
    公表情報なし(適正用量を決定中)
  • 登録予定数と期間
    約36名/開始:2025年7月31日、終了予定:2035年1月clinicaltrials.ucsf.edu
  • ステータス
    患者登録前(Not yet accepting patients)clinicaltrials.ucsf.edu
  • 治験参加国
    アメリカ合衆国(UCSF サンフランシスコ、ワシントン大学セントルイス、ニューメキシコ大学、オクラホマ大学)clinicaltrials.ucsf.edu
  • 出典リンク
    ClinicalTrials.gov(NCT06795009)メディケムエクスプレス+5clinicaltrials.ucsf.edu+5reporter.nih.gov+5

試験進捗状況

  • 登録状況:まだ患者登録開始前(Not yet accepting patients)clinicaltrials.ucsf.edu
  • 最終更新日:2025年5月30日clinicaltrials.ucsf.edu
  • 日本の参加有無:公表情報なし(すべて米国内施設)

世界の疫学データ

世界および日本における再発性高悪性度子宮体癌の明確な罹患率/有病率情報は本試験説明には記載されていません。代替となる一次情報も本試験に含まれておらず、公的機関・WHO等からの該当データは現時点では取得していません。

免責事項

本記事は臨床試験の情報提供を目的としており、治療効果や安全性を保証するものではありません。参加の可否やリスク・ベネフィットについては、必ず主治医にご相談ください。

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