臨床試験紹介(乳がんの二次療法):Dato-DXd(NCT05866432)

はじめに(疾患背景と現行治療の課題)

三重陰性乳がん(TNBC)は、ホルモン受容体およびHER2陽性を示さないため、標準的なホルモン療法やHER2標的治療が使えず、治療選択肢が限られています。そのうえ、脳転移の新規または進行した症例では、外科的切除や放射線治療が選択されますが、治療効果の持続が短く、再発や中枢神経症状の管理が困難な点が大きな課題です。本試験(TUXEDO‑2)は、抗TROP‑2抗体薬物複合体(ADC)であるdatopotamab‑deruxtecan(Dato‑DXd)が脳転移に対してどの程度効果を示すかを評価するものであり、これまで対処が難しかったTNBC脳転移に対する新たな治療戦略として期待されます。効果と安全性はまだ検証中です。

治療の位置づけ(+やさしい解説)

専門的に説明

本試験で用いられるdatopotamab‑deruxtecan(Dato‑DXd、DS‑1062a)は、TROP‑2というがん細胞表面のタンパク質に結合する抗体と、細胞内でDNAを傷害する強力な抗がん薬を結合した抗体薬物複合体(ADC)です。ADCは、標的に特異的に取り込まれ、がん細胞内で薬剤を放出し、腫瘍細胞に対して高い細胞毒性を発揮します。本試験では、脳転移をもつ進行TNBC患者に対して、Dato‑DXdを用いた治療の有効性(特に脳内反応率)と安全性を第II相試験として評価します。効果および安全性はいまだ検証中です。aging.networkofcare.org+10PMC+10centerwatch.com+10Nature+9clinicaltrials.eu+9ClinConnect+9

やさしい表現で

この治療は、がん細胞を見つける「目印(TROP‑2)」をターゲットにして、そこからがん細胞の中に薬を届ける新しい方法です。薬剤はがんの中で放たれて、がん細胞のDNAを傷つけて死滅させようとします。特に脳に転移したがんに対して効果があるか、今、試験で調べています。

患者さん向け解説

どんな治療なの?

この治療は、抗体(がん細胞のTROP‑2にくっつく)と強い抗がん剤を組み合わせた「ADC」という新しいタイプのお薬を使います。TROP‑2という目印を通して、がん細胞の中に薬を届ける仕組みです。現在、その効果と安全性は検証中です。clinicaltrials.euNational Brain Tumor Society

治療の流れ

どのくらい通院が必要?

基本的に「3週間に1回」の通院治療が必要です。通院回数は、治療開始時や副作用の管理状況によって増える可能性があります。centerwatch.com

どんな検査があるの?

日常生活の注意点

治療中は体調や食欲の変化、倦怠感、発熱、頭痛、嘔気などに注意し、気になる症状があれば速やかに主治医へ相談してください。

参加を検討する方へ

この治療はまだ研究段階にあり、すべての方に効果があるとは限りません。副作用として、吐き気や倦怠感、血液データの異常などが起こる可能性があります。参加の可否やリスク・ベネフィットについては必ず主治医と相談してください。

試験概要

試験進捗状況

  • 登録状況:現在も募集中で、進行中です。clinicaltrials.eu+14ClinConnect+14臨床試験.gov+14
  • 最終更新日:ClinConnect 上では2025年8月21日時点で“Recruiting”と報告されています。ClinConnect
  • 日本の参加有無:参加施設はオーストリアの1か所のみで、日本での実施は公表されておらず、「公表情報なし」となります。

世界の疫学データ

三重陰性乳がん(TNBC)は乳がん全体の約10~20%を占めるとされ、そのうち転移性や脳転移を伴う症例は予後が依然不良です。脳転移はTNBC患者の20~30%に発生すると報告されています(WHO、国際乳がん協会データなど)。現時点でtrial.govに疫学データはないため、日本の統計やWHOのデータを参考にするとよいでしょう(例:TNBCの発生率、日本では乳がん全体の15~20%。脳転移はTNBCの20~30%が対象)。具体値、引用元(WHO, 国立がん研究センターなど)は必要に応じて追加できます。

免責事項

本記事は臨床試験に関する情報提供を目的としており、治験の効果や安全性を保証するものではありません。治験への参加可否は必ず主治医とご相談ください。

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